こんにちは、禁煙失敗により絶賛喫煙者に舞い戻った管理人です。
昨今、世界では大麻合法化の流れとなり、常にアンテナを張っている諸外国は、大麻ビジネスに積極的に参入しています。
それとは対極的に、かつてGHQのもとに作られた古い法律をそのまま使い続け、医療ですら合法化が進まない保守的な日本。
大麻議論が沸き上がるたびに、「大麻=ゲートウェイドラッグ」と言われています。
確かに、そこに異論の余地はなく、これについては既に合法化されているどの国でも、かつて言われてきていることです。
ただこの通説、大麻が覚せい剤やコカイン、LSD、MDMAなどの違法薬物とひとくくりにされていることにも違和感しかありませんし*1、そもそも“違法”という枠組みで捉えなければ、ニコチンもアルコールも立派なゲートウェイドラッグといえるのではないでしょうか。
今回は、嫌煙家サイドからもやり玉に挙げられる、「タバコ=ゲートウェイドラッグ」問題について、客観的なデータに基づきながら解説・考察していきます。
【本記事のポイント解説】
- 煙草がゲートウェイドラッグとなる理由
- 薬物汚染拡大への疑問
- 大麻合法化への道筋について
※タイトルでは、“麻薬”とあえて書いていますが、国際基準でも大麻と麻薬は異なります。ただし、ドラッグという一つのカテゴリーに分けると、ソフトドラッグ(反対にケミカルな依存性の高いものをハードドラッグという)と言われているため、麻薬=薬物(ドラッグ)としてひとくくりにしています。
タバコがゲートウェイドラッグとなりうる理由
突然ですがあなたは、
- ゲートウェイドラッグというと何を思い浮かべますか?
人によっては、危険ドラッグ(脱法ハーブ)だったり、マジックマッシュルーム、あるいは大麻だったりすると思います。
しかしながら、日本国内にも、脳の中枢神経に働きかけ、興奮や抑制効果を促し、精神的・身体的な依存性を持つドラッグがあります。
それが、アルコールとタバコに含まれるニコチンです。
まずは、「タバコがゲートウェイドラッグとなりうる理由」について、解説していきます。
思春期に訪れる好奇心や虚栄心
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恐らく、本ページに訪れたあなたは、未成年のうちに、喫煙や飲酒の経験があるのではないでしょうか。
もしくは、自身に経験がなくとも、学生時代喫煙や飲酒をしていた友人・知人がいる方がほとんどだと思います。
自身も例にもれず、恥ずかしながら小学生時点で初めて経験しました。
当時を振り返ってみれば、単なる好奇心と人と違うという虚栄心でしかなく、ライトな感覚でしかありませんでした。
埼玉県のホームページにこんな記述があります。
タバコやアルコールは「ゲートウェイドラッグ(ドラッグの入り口)」と言われています。薬物事犯の青少年のほとんどは、いきなり薬物に手を出すのではなく、その前に喫煙や飲酒を常習化させています。
善悪の判断がまだ希薄な未成年であれば、“やってはいけないもの”や“制限されているもの”への好奇心や探求心が生まれるのは当然と言えます。
たばこ感覚で使用する
タバコ(ニコチン)がゲートウェイドラッグというのには、もうひとつ理由があります。
それを論じるにあたり、大麻の話は切っても切り離せないので、併せて解説していきます。
最近様々なメディアにて、「たばこ感覚で…」という言葉を見聞きしたことがあると思います。
下記は、元千葉県警上席少年補導専門員として、国が行う薬物乱用防止教室で講師も務める少年問題アナリストの上條理恵さんがある記事で答えた一文です。
「たばこの中をくり抜き、大麻を詰めて吸う方法もあるので、たばこを吸うのと同じ感覚だと捉えている未成年者もいます。例えば、私が少年補導専門員の頃に扱った16歳の少年は、『生まれて初めて親や先生を裏切ってたばこを吸うときの勇気に比べれば、大麻なんか全然何ともなかった、ハードルが低かった』と言っていました」
「フィルターつけたまま吸うなよw」という、大麻常習者の声も聞こえてきそうですが、上記内容からもわかるように、
- たばこがある(合法となっていて簡単に手に入る)から大麻が吸える
ともいえるんです。
年々増えている若者の大麻汚染
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大麻の話と並行しているので、別の側面からも見ていきます。
上記は、警視庁による、「人口10万人当たりの大麻事犯検挙人員の推移」です。
平成30年のデータを見ると、50歳以上では、横ばいに推移している一方、その他の年齢層(40、30、20代)においては増加傾向にあります。
特に若年層による増加が顕著で、平成30年時点では、10万人あたり20歳代では12.2人、令和上半期では7.3人となっています。
本当に大麻汚染は拡大しているのか
10万人のうち、12.2人を多く取るか少なくとるかは人それぞれですが、現状からいって、たったの0.012%に過ぎず、“汚染”という言葉を用いるのが少しはばかれる数値ともいえます。
果たして、この言葉が的確といえるのでしょうか。
加えて、警視庁の同資料によれば、麻薬(覚醒剤事犯、大麻事犯、麻薬及び向精神薬事犯、あへん事犯)の検挙数は、平成30年で13,862人、令和上半期で6,278人となっており、実はここ5年間では、ほぼ横ばい。
つまり、麻薬による検挙数は総人口あたり、わずか0.011%です*2
※総人口での割合は意味をなさないかもしれないですけどね
偏向報道に注意しつつ現実を見る
ここのところ、アイドルや歌手、俳優といった、著名人における薬物使用の報道が連日のように報道されています。加えて、一般人における摘発も後を絶ちません。
一見すると、あたかも、自分の身の回りに、恐ろしいほどの量の麻薬がはびこっているかのように錯覚してしまいます。※実際あるところにはあるんでしょうけど
先に示した数値からもわかるように、『日本は規律を守る保守的な文化』なので、法を犯してまで手を出す人は実は少ないんです。※幼少期からの「ダメ。絶対。」洗脳が功を奏しているとも言えます
もちろんこれ以外にも、検挙されていないだけで、実際はもっと多いのは明白です。
しかしながら、これについてもデータに基づいて反論できます。
引用:薬物使用の生涯経験率の推移(1995-2017年)推計値
上記統計とは少し数値は異なりますが、「依存症対策全国センター」が掲載している、2017年に実施された15歳~64歳を対象とした全国調査によれば*3、ドラッグの経験者は、約216万人と推計されおり、総人口あたりでは1.7%程度。
中でも、内訳で最も多いのが大麻で、その使用者人口は、全国で約133万人と推計されています。
ですがこれでも、人口のおよそ1%程度です。*4
上記資料通り、15歳~64歳の縛りを設けたとしても、たったの1.4%に過ぎないのです。
大麻合法化orたばこの法規制化
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なぜこんな話をしてきたかというと、たばこがゲートウェイドラッグであるならば、その先に行くことを未然に防ぐためには、
- タバコの法規制化(アルコール含む)
以外道はないと思うからです。
しかし、かつてアメリカによって、1920年から1933年に施行された「禁酒法」よろしく、禁止・抑圧は思わぬ反発を生み、逆効果だったという歴史があります。
つまり、ゲートウェイドラッグとなりうるタバコや酒を禁止したところで、反発が大きいのは容易に想像できます。
以上の理由から、「大麻合法化」は、喫煙者をさらに減らすひとつの方法であり、経済を豊かにしてくれる道筋が開けてくるのではないでしょうか。
※タバコ同様、臭いや健康被害の問題は同じですが、それこそ限定的な(例えばオランダのように専用の喫煙場所を設けるなど)使用にすればいいだけの話だと思います。
闇市場を根絶するための大麻合法化
違法薬物は、闇組織の資金源となりえます。データによれば、今でも薬物犯罪の4割程度は、暴力団が絡んでいます(平成30年時点)。
ですが、平成3年に制定された暴対法や、後の暴力団排除条例より、ビジネスはおろか、"ヤクザ"として生活すること難しくなりました。
銀行個座を持てなかったり、不動産契約が出来なかったりと、何もしていなくても、肩書がヤクザであることは、生活することすら困難と言われています。
こういった背景もあり、相当“シノギ”が難しくなっています。
当然合法的なビジネスには参入できず、組織を存続させるためには、本来はご法度である“非合法なクスリなどのビジネス”をせざるをえません。
そしてそのまま摘発され、薬物犯罪が年々減少傾向しているともいえるでしょう。
ですが大麻合法化が進む海外では、むしろ逆の発想で、広がり過ぎた闇市場の摘発と同時に、政府の管理下で安全で安価なマリファナを供給することで、麻薬密売組織をさらに弱体化させることができます。
合法化されている国々とは、土地柄や歴史的なバックグランドが異なります。また、暴力団は社会の均衡を保ってくれている側面もあります。
とはいえ、日本もそろそろ、重い腰を上げざるをえないところまで来ているのではないでしょうか。
大麻で経済を豊かにする
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ここまでいっていればお分かりの通り、嗜好品としての大麻はさておき、医療大麻には賛成です(どちらも同じですが)。
理由はいくつかありますが、一番の理由は、
- 救われる人がいるから
に他なりません。
精神病によく使われる眠剤などのケミカルドラッグ(処方箋含む)は、副作用が強いものが多く、私の身の回りでもそうですが、ほぼ間違いなく依存しています。
そこから抜け出すのはかなりしんどく、ODになる方も決して珍しくなく、果たしてこれでいいのかと常々疑問です。
- ケミカルドラッグでズブズブになるのが、病気の方にとって、いい結果を生むのでしょうか
- メリットがあるのは、製薬会社や病院などの、既得権だけではありませんか
合法=安全も思考停止で短絡的過ぎます。
こちらにも根拠はありませんが、自然由来(というか自然そのもの)の方が、単純に安心ではありませんか。
ですが、日本国内において現時点では、全くといっていいほど、議論どころか、いまだに大麻は麻薬とひとくくりにされ、言葉にすることすらタブー視されています。
というのも、現行の法律では、研究者ですらTHC成分*5を含んだ大麻を取り扱うことができないため*6、議論の余地すらありません。
何と大麻栽培を許されている農家は、平成28年度で、全国に37人しかいない(ぐらいハードルが高い)そうです*7
仮に法改正が進み、臨床実験等が可能となっても、開発・治験・新薬承認となるには、これまで地盤を一切作っていないだけに、少なくとも10数年の年月に加え、何百億という莫大な費用がかかります。
とどのつまり、近年の後手後手思想を見ていると、日本での大麻合法化はあと100年ぐらいは最低でもかかるかもしれませんね。
ネガティブキャンペーンよりまずは議論できる環境を
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日本は幼少期から、規則や規律を重んじています。
その最たるものが校則で、学業と一切関係のない規則が山のようにあります。それは社会に出ても同じで、朝の(無駄な)朝礼や、強制参加の飲み会といった、謎の習慣が未だに多く、保守的な部分が目立ちます。
SNSを見ていればよくわかりますが、出る杭は打たれやすく、一人ひとりの個性への許容度が低い社会ともいえます。
もちろん、いい面もありますが、息苦しいと思っている優秀な若者は、どんどん海外に出て行ってしまいます。
「ダメ。絶対。」を洗脳し続ける国ではなく、「なぜダメ。絶対なのか。」を科学的根拠に基づいて議論できる国になってほしいものです。
※大麻の所持・譲渡・販売は、日本国内においては違法です。本記事では、大麻の栽培・販売・譲渡・所持をあっせんするものではありません。
*1:厳密には大麻取締法、麻薬取締法、覚せい剤取締法、あへん法などに細分化されている
*2:検挙数には単なる所持・仕様だけではなく営業犯も含みます
*3:1.嶋根卓也,ほか:薬物使用に関する全国住民調査(2017年). 平成29年度厚生労働科学研究費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業「薬物乱用・依存状況等のモニタリング調査と薬物依存症者・家族に対する回復支援に関する研究」分担研究報告書より
*4:厚生省が出している、平成29年度厚生労働科学研究 薬物使用に関する全国住民調査によれば1.4%
*5:簡単に言うとハイになる成分
*6:栽培免許には、農地の確保、栽培目的、生産物の利用方法を明確化する必要があり、大麻取扱者免許の窓口は各都道府県の薬務課等で許可をえなけらばなりません
*7:厚生労働省「大麻栽培者数及び栽培面積の推移」より